防火試験と遮煙試験

皆さんこんにちは、今回のブログ担当の営業推進室の尾形です🙂

 

アルミサッシ業界では個別防火認定の対応で大変な時期ですが、今回は以前自分が経験した防火試験、遮煙試験のお話をしたいと思います。

 

最初は、大手ゼネコンと中国の公安部の消防機関と共同で、木質系防火ドアの日本の防火認定と中国の防火認定を取得するプロジェクトに関わっていた時の話です。
中国ではロックウールより耐火性が高いアルミナシリケートが安く調達できるので、それを利用して、当時高級マンションに使われていた木質系防火ドアを中国で調達して日本で販売するという計画でスタートしました。

木質系防火ドアの断面図

比重が重い木は燃え広がらずに炭化して縮むので、扉の端部にインツメックスというオーストリア製の耐火発泡材を入れて、縮んでも枠と扉の隙間から火が貫通しないようにします。
現在では、積水化学のフィブロックに代表されるような商品です。
防火試験ではいろいろな仕様が盛り込めるように厳しい仕様で臨んだので、やはり最後の10分間は煙がかなり出てきてぎりぎりのところでの合格でした。
試験体作成、実際に中国からの国際調達ということで文化の違いで苦労しましたが、現地駐在の人にいろいろな中国の一面もご紹介いただき、通常の観光ではできない経験もしたように記憶しています。

竪穴区画の遮煙の必要性のイメージ

 

次は、エレベーターの竪穴区画の遮煙に対応した米国の商品で、大臣認証を取得した時の話です。RC造の火災では火より煙によって命を落とされる方が多いのがで、平成14年からエレベーターの竪穴区画の遮煙性能が強化されました。
平成14年の運用以前に建築研究所と国土技術政策総合研究所ではいろいろな遮煙の製品の検証に着手していました。その一環として、建築研究所に米国の製品を持ち込んで、米国側のエンジニアと検証のお手伝いをしましたが、試験装置が研究所でも初めて導入した装置だったので、試行錯誤の作業でした。研究所の検証データで大臣認定を取得する事はできないので、改めて建材試験センターで試験を受けて、めでたく大臣認定を取得しました。
米国での国際特許のライセンス契約から始まり、施工現場見学、施工技術研修などを経て、日本で大臣認定取得、国産化など数年にわたっての活動でしたが、渡米の合間にスノーボードやスキー、スポンサー席でのアイスホッケーの観戦など、仕事の合間に多少の息抜きもありました。
建築基準法の改正の前にはいろいろな動きがあり、その動きをいち早く察知して対応していくことが企業にとっては重要な事だと改めて感じました。

外断熱工法の火災時のイメージ

 

最後は、欧米では当たり前の外断熱工法の防火性能に関する検証に関わった時の話です。日本では外壁に断熱材(発泡スチロール)を接着する外断熱工法は防火上問題ないのかという議論があり、その検証を建築研究所で業界として検証を行いました。欧米では、防火に関する施工方法が確立されていて、正しい知識を持って正しい施工を行えば防火性能が担保できると言われていたので、実際にその工法を用いて検証を行いました。

左の図は、いくつかある工法の一例ですが、他にも補強メッシュを断熱材の裏側まで巻き込む工法もあります。実際に開口部から火災状況を再現した試験では、断熱材が延焼して被害をもたらすようなものではありませんでした。

 

 

 

火災状況を再現した検証

他にもいろいろと防火試験には立会い、不合格も経験してきたので、終了間際の時間帯はいつもはらはらどきどきでした。
アルミサッシも早くいろいろなバリエーションがそろい、仕事がやりやすくなるのを祈って今回のブログの締めとさせていただきます。

 

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